「あれ。何かこの車すごい暖かいですね」

暖炉でも積んでるみたい。と青年は言う。

あ、それ当たり。
実はエアコンの吹き出し口の向こう、家の暖炉だ。
これはトナカイ力で繋げてある。

元の暖炉も、サンタ力で、
薄着で過ごせる、だけど完璧安全の快適仕様になっていたりする。



今から徒歩で向かったなら、
イブは会えずに終わりそうな青年を、
後ろの席に乗せて山道を登っている。

さっき見たはずの、ケーキを入れていた、名はクーラーボックス。しかし中身は大きい冷蔵庫。に、
青年が気づいて突っ込まれないかにハラハラしながら移動中。
少し大きいだけの発泡スチロールに、
ケーキが詰まってたら、普通はおかしいと思いそうだから。
まあ、何故かトランクを開けたら冷蔵庫でした!ってよりはマシだろう。


「……山道こえー……」

ぼそっと呟いたトナカイの声は、聞かなかった事にしたい。

さっきまでより道幅は確実に狭いし、
普段乗り回す環境と違うから、しょうがないんだけど。


そんなこんなで、青年を無事に恋人の家に送り届けた。