「……羨ましいじゃねえか、こんちきしょう」

「さ、続き頑張ろうねー」

ケーキを積み終え、店員に見送られて発進させる。

だけど、本当は近場で待機。
彼が無事に恋人に会えるまでを見届けなければいけない。


幸いな事に、浮かれたままで店を閉め、
早く家を出ようと頑張る店員の仕事は素早かった。

それを車内から眺め、
すでに幸せそうで羨ましく思いながらも、この仕事は早く終わりそうだとほっと息を吐く。

ちなみに今度はトナカイのトナカイ力で、
トラックはワゴン車へと姿を変えている。

トナカイは自分や、そりなどの乗り物を、
空に浮かばせたり、頑張れば見た目を変える事が出来る。

いざという時に、その辺の子供用のそりを、サンタ仕様のそりに変えられるようにだ。

それには結構な力が必要……それが使える位なのに、なんで俺と一緒にやってんだろ。
時々そんな疑問を浮かべるが、
それは、俺と一緒にいたいからなんだろう?

こんな風に一人で納得して、
急に機嫌を持ち直す俺を、トナカイは不思議そうに見る。


トナカイとしての名誉よりも俺を選んでくれた。
それだけで、まあ恋人たちを祝福してやらん事もないかな!と思う訳だ。