『四秒』

「……?」


地に伏せている二人に向かってフッと笑うと、訳が解らず首を傾げる。


「これで終わりだぁぁぁあ!!」


降り下ろされた鉄パイプをまた躱して右ストレートを決める。そして、男の顔をそのまま地面に叩き付ける。

もう一人の男は鳩尾に一発入れてそして背負い投げでこれまた地面に叩き付けた。


以上、四秒。


『っしょ。ん、大丈夫ですか?』

「へ?あ、あぁ…」


ポーッとしていた二人に近付いて手を差し出します。そうするとお兄さんは何が起こったか解らない様な顔で“私”の手を取りました。


「な、尚ッ!相手、血桜だよ?!華龍の総長ッ!!」

「あ、あぁ…。………っすみません!!すみませんッッ」


はて?
もう一人の男の人が顔を青くしてお兄さんに言うと、お兄さんは気の抜けた返事を返した後、私を見てから握った手を見て慌てて謝り出しました。

私は謝られるような事しましたか?


『……?』

「あ、あ、あ!」

『? ケガ大丈夫ですか?』

「だだだ、大丈夫ですっ!!」


起きた方が良いですよ?と言うとケガに顔を歪めながらも素早く立ち上がりました。案外、大丈夫みたいです。


『私は』

「…っ?」

『他人(ひと)を想う力がある方が強いと思いますよ?私は仲間が一番大切ですから』

「「……?」」


二人は呆気に取られたように固まります。
私は笑って言葉を続けました。


『お兄さんは私に“逃げて”って、自分よりも他人である私を“想った”でしょ?』

「……!」

『お兄さんは、きっと強くなれますよ』