それに比べて父さんと桃李は黙ったままだ。



『あ、母さん。ケーキ好評だったよ』

「そう?明日の分も作っておくからね」

『ありがとう』



出費削減、出費削げ…



「「ストォォッッップ!!」」

『あん?』

「どうしたの?二人して」



大声を出して駆け寄って来た野郎二人。
なんだよ、気色悪ぃ。



「ちょっと待て、桜!お前、出会って三日であいつ等をこの街トップにしたのか?!」

『あいつ等の力だ』

「尚、そんな事言ってなかったよ!?」

『本人達も気が付いてねぇんじゃね?』



父さんだって現役ならこれくらい余裕だろ?
それにあたしがしたんじゃなくてあいつ等の力で勝ち取った事。

まあ、あの後稽古を再開したから気が付いてなかっても、ありえない事じゃない。



「…桜、お前わかってるのか?」

『何が』



急に真剣になった父さん。



「あいつ等がこの街トップになったって事は今まで狙われなかった敵に狙われるって事だ。隣街にもチームは沢山いる。それに鬼刃が倒された事で今まで鬼刃の下にいたチームが暴れ始めるかもしれない」

『だから?』

「お前…、責任は取れるのかって言って…」

『あたしが頼まれたのは“強くする事”であって“責任を取る事”じゃない。この街のトップに立ってこの街を統べれるかどうかはあいつ等次第だ』



そこを間違うなよ?と、父さんに不敵に笑って見せると、呆気に取られた様な顔をしてからため息を吐いた。
それから、ガシガシと頭を掻く。

最近抜け毛を気にしてるくせに、そんなに掻いたら髪が抜けるぞ?