『格好悪…』

「そーだよね。だからさっさと…」

『格好悪いのはテメェ等だよ』

「ぐはっ!?」


私、いやあたしの拳がカラフルな男達の中の一人にヒットする。
その場にいた全員の視線があたしに集まる。

地に伏せていた二人もあたしの変わりように目を丸くしていた。


『格好悪いのこの上ねぇな。そっちの二人の方があたしは良いね』

「は…?」


此処では喧嘩するつもり無かったのに。
時と場合によってあたしの口調は変わる。


『そんなんだから、“街”止まりなんだよ。あたしから見ればテメェ等の方が“最弱”に見えるぜ』

「んだと…!?」


キレたのか勢いに乗って殴りかかってくる男。
お兄さんともう一人の人が「危な…ッ!!」と叫ぶのを端で聞いて。


あたしは男の拳を躱して中段の回し蹴りを男の横腹に叩き込む。そうすれば男は軽く吹っ飛んだ。


『弱ぇな。華龍に名を知って欲しいんならあたしに勝ってみなァ!』

「まさか…!お前が“血桜”なのかッ!?」

「ち、ざく…ら?」


今更、知った所で何も変わらないけど。
カラフルな男達は目の色を変えてあたしに突っ込んでくる。


相手の動きを一瞬で見抜いて一気にぶっ倒していく。
本当、“街”止まり。全然弱い。


『っと、武器とは。よくやるねー』

「はははっ!血桜を倒して全国に立つ!!」


後ろから降り下ろされた鉄パイプを躱して、男を見ると狂ったように笑っていた。

強い相手を前にして酔ってる。勝てると思ってるんだ、血桜が“女”だと分かって。


「後ろっ!!」

『…っ?』


尚さんの声に気を張れば倒した筈の男が起き上がって同じ鉄パイプを降り下ろしていた。

立っているカラフルな男達は後二人。