クソ暑い夏が過ぎ、それでも暑さが少し残る秋。
桜が通う海ヶ丘学園では文化祭に向けて、学園中がにぎわいを見せていた。
『これ何ですか?』
「文化祭の衣装だよ!」
『ヒラヒラ過ぎませんか?』
「ツッコミそこ?」
桜は中学からの友達の柚子(ユズ)に、文化祭のクラスの模擬店で着る衣装を着さされていた。
まあ、その衣装が白とピンクのフリルが大量に使われたメイド服なわけで。
「ふふふ。これなら、他のヤツ等(クラス)なんざ、敵じゃないぜ」
『ゆずー?』
「………いい」
『は?』
「いいよ!今のすごくキュンってなった!!それ武器になる。男なんてイチコロよ!」
『……』
武器と言うのが、名前を伸ばしながら首をコテンと傾げた仕草。
『…何で今、私の携帯で写真撮ったんですか?』
「何でって、桜の彼氏くんに送る為よ」
『や、止めて下さい!』
「きゃー、桜が照れてる可愛いーっ!送信☆ポチ!」
『きゃああぁぁ!』
桜は慌てて柚子から携帯を取り上げるが、画面は送信済み。