「決めたぞ。お前、私の婿(もの)になれ」 辺りが茜色に染まる空の下、帰宅途中の野次馬共が見守る最中、少女は満面の笑みで意味不明なことを広言しやがった。 (どうして、こうなった?) 考えろ俺!! そして思い出せ!! 公衆の面前で、恋人通り越して結婚しろと言われる原因は何だ!! 自らの脳をフル回転させ、薄れた記憶を次々と呼び覚ましーー (まさか……) 簡単に、呆気なく、速攻で、ある出来事が浮かび上がってきた。