子おには両目をぐるんぐるんとこすって、眠たげにひげもじゃ神さまを見上げます。
「そうじゃ。実はじゃな、毎年秋にやっとる神さま集会を、今年は夏の始まりに行うことにしたのじゃ」

 神さま集会とは、日本中の神さまが年に一度、秋の日に、西の方にある神社に集まって、一年のことを話し合う会合のことです。


「秋のるすばんは、どんぐりひろいにやってくるリスに頼むのじゃが、その実も青い今は、リスもおらんのじゃよ。もちろん、ただでるすばんをしろとは言わん」
 ひげもじゃ神さまは、子おにのまあるい鼻先にお供え物の大福をぶらさげました。
 大福はいかにもうまそうなにおいがします。
 真っ白で、もっちりやわらかくて、食いしん坊の子おにはぱっと飛びつきました。


「むふもふ。ああ、この大福のつぶあんホクホクだぁ。これは、トメばあさんの大福だ」

「そうじゃ。もう六月も過ぎて、稲もすくすく育っとるからの。みんなうまい供え物を毎日持ってきてくれるわい」