「…いってきます」

誰も居ない家にそう言って戸締まりを確認すると鍵を閉めて走り出す

少しゆっくりし過ぎた

それ以外にも理由はあるけど…まぁ、いつもの事だし

また1つ溜め息を着くと考えるのを止めた
考えたところで何かが手に入るわけでもない

僕は角を曲がったところで足を止めた
ちょうど信号が赤に変わってしまったからだ
僕は空を仰ぐ、今日も昨日と同じで快晴
良くこんなに晴れるもんだと、嫌でも思ってしまう

僕は額の汗を拭うと同時に誰かに肩を叩かれた
反射的に振り向くと

ムニュ

「よっ♪空(ソラ)」

そう笑顔で僕の頬を指でつつく奴…あの馬鹿しかいない

「手ぇ邪魔だから直哉(ナオヤ)」

僕は直哉の手を払い退けると青になった信号を渡り始めた

「おい!待てって」

慌ててついてくる直哉を見て少し笑えてくる

「あ!今笑っただろ!?」

「さあね」

絶対笑ったな!なんて言うと僕の周りを回りながら話し出す直哉
僕はまた少し笑った

君とならいつだって笑える…







この日々がずっと続きますように

そう願ってたあの頃…






あんなにも呆気なく崩れ去るとも知らずに…