『おらんのやろ?』
「失礼なこと言わないでよぉ・・」
『おったら、すぐ「おる!」っていうやろ、美久なら』
(よくお分かりで・・)
『ちょうどええやん』
「なにが?」
『約束覚えてるか?』
「約束?」
『ほら、卒業式の・・』
「そつぎょ・・あっ!」
『思い出したか?』
「うん! えっ? あの約束だよね? ホントに? だってめっちゃふざけてたのに・・」
『めっちゃって・・美久、もう移っとるやん!』
「えへへ・・」
『やっぱ、美久は可愛ええなぁ』
「え・・? な・・なに言ってんの? 高校のころは美久のことおたふく顔だって言ってバカにしてたくせに・・」
『・・そんなのガキのころやろ? 今はお互い三十になったんやし・・オレはずっと、あの約束、覚えてたんや』

うそぉ・・

 美久の頭の中に、卒業式の光景がはっきりと浮かんできた。