【愛理SIDE】
「………………」
…………そろそろ限界。
…………なのかもしれない…。
―――学校の玄関の、
自分の靴箱の中の状態を
目の当たりにしながら、
心底そう思った朝。
―パタン…と、靴も出さずに
扉を閉めたあたしを、
「愛理?どうかしたのか?靴、は
かねぇの?」
―――紫樹は不思議そうに
あたしを見ながら、
そう言って来た―…。
………そんな紫樹に、
開けられちゃわないように、
あたしは慌てて隠した。
「ごめん!!先行っててくれる?」
「…………何かあったのか?」
「大丈夫だから!!早く行かないと
遅刻しちゃうよ?………ね?」
「…………わかった。先に行って
るぞ」
「うん」
………紫樹が見えなくなったのを
しっかりと確認してから。
―――あたしは再び、
靴箱の扉を開けた。