「紫樹…これホントに、初めて…?」
「初めてだよ。料理とか、必要性
感じなかったし」
「必要…性…」
あ、そっか…。
紫樹は女嫌い…。
結婚する気も、
彼女作る気もなかったよね…。
…………わかってる。
わかってるけどなんか…
胸がモヤモヤっとする……。
あたしだって、
人のこと言えないのに…。
「いただきます」
果たして…この料理は、
美味しいのか。
………それはわからない。
見た目だけって可能性も、
なくはないし。
「美味しい…」
紫樹が作ったご飯は、
見た目が、
綺麗なだけじゃなくって。
あたしが作ったものより、
美味しいかもしれないくらい…。

