「おい京介!さっさと運べ!」
「すいません!!」

俺は杉山京介
高校には行かないでこの製鉄所で働いている。
ここには俺の他に工場長である元さん、ケニアから日本に出稼ぎにやってきたボビー
そして俺が働き始める随分前から働いているマサさん
皆良い人たちだから俺も何不自由なく働けている。
特に工場長の元さんには小さい頃から世話になっている。
おれの両親が事故で死んだ時も色々助けてくれた。
今もこうやっておれに働く場所を与えてくれているうえに一緒に住まわせてくれている。

「お前も毎日おやっさんから怒鳴られて大変だなぁ」
「もう慣れましたよ」
「マササン、コッチモテツダッテクダサイ」
「おぅ!今行く!」

あんただって同じようなもんだと思うけどな・・・
「皆!そろそろご飯やよ!」
この人は元さんの娘の愛、元さんが福井出身だからか若干なまっている。
俺達は幼い頃から兄妹のように接してきた。
しかし成長するにつれて{妹のようなもの}から{女の子}として見るようになっていった。
もしかしたら好きなのかもしれない・・・
そんな事を意識したら前よりも上手く喋れなくなっていた。

「京介君、はいお茶」
「あぁ、ありがとう」
愛は何食わぬ顔で俺に話しかけてくる。
一体愛は俺をどのように思っているんだろうか・・・