あれから10日以上経つけど、新宿の街でレンに会うことは無かった。
会わない日々が続くほど、日に日に気持ちは大きくなっていって、まるでお菓子を貰うのを待ちわびる子供のように、レンに会える日を毎日毎日楽しみに生きていた。
小さな喫茶店でバイトしている時も、常にレンのことばかりを考えていた。
例えばレンはどんな味のコーヒーを飲むのだろうとか、あの薄い唇を誰と重ね合わせるのだろうとか、あの力強い腕で誰を抱くのだろうとか。
レンの匂いが忘れられなくて、近くにあるドンキ・ホーテへ香水を探しに行ったりもした。
だけどレンの匂いは無かった。
まさか自分が一目惚れをするなんて夢にも思ってなかったし、ましてはホストなんて絶対に有り得ないと思っていた。
レンのことを考えるだけで心臓が高鳴ってしまう。
彼のことをもっともっと知りたかった。
