「いつものヤツ2つね」
レンはニコニコ笑いながら、カウンターの向こう側にいるおじさんに声をかけた。
「へいよ!」
おじさんの威勢のいい声が店に響き渡った。
「ここのラーメンは絶品なんだ」
「ふふっ」
「なに笑ってんだよ」
そう言って頬を膨らましたレンは私の方をギロリと睨んだ。
「だって私、レンはステーキとかイタリアンとかしか食べない人だと思ってたから」
「はぁ?どんなお高い男だよ」
「だってさぁ…」
「あのね、俺はこう見えても毎日キリキリな生活してるんだから」
「そんな風には見えないよ」
「そうかぁ?」
「じゃあさ、レンは家族いる?」
「いない」
急に冷たくなったレンの声に背筋が凍りそうになった。
「あ、なんかごめん…」
