あのねっ、お姉ちゃん龍太郎に紹介したい人がいるのっ

雛菊が鼻歌混じりにコーヒーを淹れている。

その背中を向けているうちに。

「っっっっ!」

龍太郎は秋帆に向かって土下座した。

頭を下げる事が嫌いで、負けず嫌いな龍太郎が。

「雛菊の事、大切にしてやってくれ…頼む」

「り、龍太郎君…!」

秋帆は喧嘩などしない。

した事がない。

怒りに任せて拳を振るう事などないし、他人を殴った事などない。

しかしそんな彼でも、龍太郎のその想いには、何か熱いものを感じずにはいられなかった。