あのねっ、お姉ちゃん龍太郎に紹介したい人がいるのっ

クッキーをバリボリと噛み砕きながら。

「だって本気なんだろ?雛菊の事」

龍太郎は何食わぬ顔で言う。

「そ、そりゃあもう!」

強く頷く秋帆。

そんな彼の色白な顔を、龍太郎は頼もしく見つめる。

「…俺ぁ中学ん時は随分タチ悪くてよ…雛菊には随分苦労かけてんだ…警察に連れてかれて迎えに来させた事もあるし、怪我して救急車呼ばせた事もあるし、逆に怪我させて病院通いさせた事もある」

昔は雛菊はあんなに笑う女じゃなかったと。

龍太郎は心底申し訳なさそうに語った。

「だから…もしあんな羞恥心ゼロの姉貴にでも彼氏ができるとしたら…俺とは正反対の男がいいと思ってた…喧嘩したり格闘技したりしない、雛菊が何も心配せずに付き合える…秋帆…お前みたいな気の優しい男がいいってな」