あのねっ、お姉ちゃん龍太郎に紹介したい人がいるのっ

嘘をついている事がバレたのか。

三人の間の空気が重い。

「あっ、あのね龍太郎!秋帆君は…!」

何とか言い繕おうとする雛菊だが。

「もう、いいです、雛菊ちゃん」

秋帆は雛菊の言葉を遮った。

「ごめんなさい龍太郎君…格闘技やっているなんて嘘です」

包み隠さず、秋帆は真実を語る。

「僕はつい先日までキャリーカーの中に引きこもって読書に明け暮れていた本の虫です…格闘技は勿論、運動だってそんなに得意じゃありませんし、雛菊ちゃんとは違って日に当たる事さえ稀だったひ弱な男子なんです…」