あのねっ、お姉ちゃん龍太郎に紹介したい人がいるのっ

「はぁい、龍太郎お待たせ」

雛菊が盆に載せたコーヒーとお菓子、そしてプリンを運んでくる。

目の前に置かれたコーヒーカップとプリン。

いつもの彼ならばがっつく所だが、今日ばかりは頬杖をついたまま、微動だにしない。

その視線は秋帆へ。

突き刺さるような眼光が痛い。

「し、紹介するね」

重い空気に耐え切れず、雛菊が言う。

「柔道七段、空手六段、プロレスベルト保持者の薙沢 秋帆君ですっ」

(雛菊ちゃん言い過ぎぃいぃいぃっ!)

あまりの大法螺に、秋帆は口から心臓が飛び出しそうだ。