「さてと、本題に入りましょうか。で、何の話しだっけルイ?」

「やっと本題に入るんだな。誰かさんのせいで話がずれたせいだな」

 何事もなかったようにエレミールは話を切り出す。
 ルイはそんなエレミールに対して皮肉混じりに言い、聞こえるように溜め息を零す。そして、止まっていた足を動かし、目的地である町長の屋敷に向かった。
 エレミールとの茶番に付き合ったおかけで辺りは夕焼けの綺麗なオレンジ色な空が紫が交じった濃青へと少し変化していた。

「悪かったわよ。その件に関してはちゃんと埋め合わせするからさ、ゆ・る・し・て」

 エレミールは茶目っ気たっぷりの声で言い、最後に言った言葉はハートマークが付いている感じで言う。
 それを聞いたルイはブルッと一回身震いして寒気がし、予想外の攻撃を食らったのだった。
 ルイはなんとか持ち前の冷静さで話しだす。

「とにかく話を進める。今からえっと、ビルト・ルゲイエとか言う、弱小Dランク賞金首の所に向かってるから、倒したらそっちに送るからな」

「ん、了解。あっ切らないで!ちょっと待ってね…ん〜とっ…あった!ビルト・ルゲイエは先天属性は水でランクは、んっ?Dランクじゃないわよ。Cランクで2300万だってさ。それよりルイさぁ、あんたいつの時の賞金首リスト見たのよ?」

 エレミールに言われたこともあり、ルイはてっきりビルト・ルゲイエはDランクだと思っていたのに、Cランクまで上がっていたのを聞いていつ賞金首リストを見たか記憶を遡り探す。一年ぐらい前に、はっきりしてないが見た記憶がある。もうそんなに見てないのかと思い、自分は賞金首には固執してないことを自覚する。

「助かったよ。レシィリアにもよろしく、じゃあな」

 ルイは小型の機械の通信機を切ろうとすると何かエレミールが喚いている声が聞こえるので、また耳元にもっていく。

「こらぁ!切るなぁ!」
「まだ切ってないから喚くな、煩い」

「もう、ルイは毒舌だね。そんなことよりビルト・ルゲイエだっけ、殺しちゃ駄目だよ」

「ああ、わかってる。気遣いはいいが心配はするな。ちゃんと手加減はする。それだけか?」

 ルイはエレミールに素っ気なく言い、話を終わらせようとした。