青年はジャケットに付いているポケットから小型の黒い色をした機械みたいなのを取り出す。そして、1と書かれたボタンを押して辺りを見ながら耳にあてる。

「やっと連絡してきたわね!!なにやってるの!?ルイあんたねぇ規則をちゃんと守ったらどうなの!?おかげで私が怒られたじゃない!」

 耳に充てた機械から大音量の声高い音が響き、ルイはその声のせいでキーンと耳鳴りがひどく頭を抱え蹲った。少しして治まり、立ち上がって耳鳴りを引き起こさせた人物に不機嫌な顔をして文句を言う。

「エレミール、お前の声煩い!それに大体お前からしたことだろ。俺に責任転嫁するのはよくないな」

「年下のくせして偉そうな口叩くな!あんたのせいで私は3ヵ月謹慎でずっと此処にいるのよ!!どうしてくれるのよ!?」
「だから受け付けにいるんだな」

 納得した後、甲高い声を荒げて一気まくしたてて喋る人物に心底迷惑そうな表情をするルイ。尚も止まることを知らない言葉数にうんざりしたように機械を離した。そして呟く。

「これだから誰も相手にしてもらえないんだろ…」
 ルイの呟きは不幸にも風に乗り、話相手のエレミールに聞かれてしまった。


「な、な、なんですってえーー!?あんたねえ!言っていいことと悪いことがあるってわからないの!私が一番気にしてること平気で言って、あんたは悪魔かああ!人でなしい!鬼畜う!」

 エレミールは思い付く限りの罵声を言い捲る。そして、肩を上下させて息を荒げてるのが機械越しから聞こえてくる。
 フゥーと溜め息を吐き、やれやれといった感じでまだ息を切らして顔を真っ赤にして怒っているだろうエレミールに呆れたように言う。

「エレミール、もう本題に入っていいか?」

「そ、そりゃ私だってこんな性格直したいと思ってるわよ…私だって好きな人に振り向いてほしくて可愛らしい声で喋ったわよ。そしたら何ていったと思う?…普通に喋ってくれないか、ですって!気持ち悪いから、だって!ハハハハ、ハ、ハ…って、ふざけんじゃないわよぉ!」

 ルイの言ったことを完全に無視して話だし、最初はトーンが低く、最後には怒鳴り声に変わっていた。発狂したみたいに笑い続けるエレミールに少し引くルイ。