「ちくしょう!大地に願うは我を守りし盾。ロックウォール!」

 迫ってくる炎の矢を見て焦りながら急いで呪文の詠唱を唱える。土の盾が自分達の回りを囲い、なんとか間に合ったと思い冷や汗を拭いニタニタとまた笑う。

「おじさん達ってやっぱり弱いね」

 土の盾越しにルイの声が聞こえ、またしても挑発に男達は額にピクピクと皺が寄る。

「ガキがぁ!調子に乗るんじゃねぇぇ!穣ちゃんの魔法は俺達には当たらねぇんだよ!」

「あっそ。おじさん達リタイアだね」

 声を荒げルイに牙を剥くが、まったく相手にしていないルイは戦っていないのに少し疲れた表情をして言う。
 どこがリタイア何だとかばかりに嘲笑うように三人は向き合って笑うが、一人が異変に気付いて言う。

「なんか熱くなってねぇか?」

「確かに熱いな」

 辺りを見回して原因を探ると三ヶ所ほど土が溶けてきている。土を溶かすには物凄い高温ではないと土を溶かすまでにはいかない。三人の男達は驚愕の表情を浮かべてみると、三本の炎の矢が貫通してきているではないか。貫通した高温を放つ炎の矢は男達の回りをグルグルと回り、徐々にスピードを上げ残像が残るほどの速さで男達の回りを回る。そしたらなんと男達の居る場所で火柱が立ち上り、天へと届くくらいまで上がるように燃えている。
 もちろん闘技場の至る所でも火柱が立ち上り、闘技場全体の温度を上げている。

「ちゃんと火加減はしといたわ。今度同じことをしたらこれじゃすまさないからね!」

 土の盾が崩れ三人の男達は黒焦げになっているがなんとか生命を繋ぎ止めているようだ。
 ニーナは戦場に似合わないほどの綺麗な微笑みを浮かべているが、全くもって目が笑っていないのであった。