「何さっきから人のこと無視して話してやがる!無視するんじゃねえ!大地は意志を持ち、全てを砕く手と成れ!アースハンド!」
ボコッと地面から土が盛り上がり三メートル位の土の手を形成され、それがニーナめがけて振り下ろされる。
バコーーンッッ!!
大きな音が鳴り響き、ニーナに当たった。それを観客席から見ていたクルスは顔面蒼白になり手をブルブル震わしながらバタッと倒れた。気付いたナーシャが介抱したのは言うまでもないことだが。
一方観客席とは違い闘技場舞台では未だニーナが居たであろう場所には土埃が空中に漂い姿が確認されていない。
先程の魔法を放った男はニーナが現われないのを見てニタニタ笑っている。
「そこのガキ!穣ちゃんがやられたぜ!馬鹿だよなおれらに逆らうからこんなことになっ……何笑ってやがる!」
笑い声を上げて言い、ルイを見たらなぜか微笑みを顔に浮かべこっちを見ているのに気付き癪に触り声を荒げる。
「別に。おじさん達って本当に弱いね。見なよ」
ルイは微笑みを絶やさず、土埃が徐々に晴れてきている場所に視線を向ける。同じように男達も視線を向けると晴れてきている土埃の中から人影のシルエットが浮かび上がっている。それを見て男達は驚愕の表情を顔に浮かべ口をパクパクさせている。
「よくもやってくれたわね!食らいなさい!
燃えたぎる炎は幾多の生命の命を絶やし、灼熱の地獄と化す。インフェルノレイン!」
土埃が晴れて土の手のちょうど真ん中辺りに穴が開いている場所に姿が見えたニーナの詠唱に呼応するように、頭上にはメラメラと巨大な炎が出現し空気中の酸素を燃やし更に大きく燃えている。その炎は高度を上げていき止まると、巨大な炎から分裂し幾多の炎が出来上がり形を形成していく。弓の矢のような形になった炎は無数に出来上がり闘技場内に飛び散る。
三本の炎の矢が男達に物凄いスピードで迫ってくる。


