「ねぇ、ルイ。さっきからどうしたの?考えごとばかりして。私の話しちっとも聞いてないじゃない、ずっと浮の空だし」
「……ん、ああ何でもないってば。それよりニーナの武器って何?」
ニーナに話し掛けられ少し間を置いて答え、はぐらかすために違う話を切り出した。
ニーナはそんなルイを不思議に思いながらも気にせず綺麗な笑顔を浮かべて言う。
「私の武器はこれなんだ」
そう言ってどこからともなくフリルがヒラヒラ付いていて、所々に水玉模様をあしらえた赤い傘を出す。それを見たルイは「えっ?」と声を上げ不信そうな目付きで見つめる。それに気付いたニーナは「なによぉ!へん?」と聞くので「うん」と答えた。
「変じゃないわ!この傘は特注品なの!耐熱性、耐久性、耐氷性、その他もろもろの耐性があるのよ。それに傘の先端にはよく切れる刄が備わっているし、何より傘自体可愛いし軽いのよ。こんなに素晴らしい傘はないわ」
ニーナはキラキラと目を輝かせ、この赤い傘がどれだけすごいか熱をもった声で力説する。
そんなニーナを見ながら呆れて物も言えないルイは苦笑いを顔に浮かべるしかなかった。
ガチャッ
ドアが開く音が聞こえると係員が出場者の控え室に入ってくる。入ってきた係員が出場者全員の顔を見て話を切り出す。
「もうすぐで前の試合が終わりますので、始まる前に闘技場でのルールをもう一度確認のため説明させていただきます。一つ目、殺生はいけません。二つ目、舞台から場外に出た場合失格となります。三つ目、観客席全体に魔法障壁が張られているため、魔法を使っても大丈夫になっているので、魔法の使用はいけます。以上三つがこの闘技場でのルールです。それでは頑張ってください」
係員の説明が終わると観客席から歓声が控え室まで響いて聞こえてくる。それを聞いた係員が「こちらから闘技場の舞台に上がりください」と催促をし、次々と出場者達はこの控え室から出ていく。取り残されたルイとニーナも遅れて付いていこうとし、歩きながらルイはニーナに話し掛ける。


