控え室前に到着した二人は自分達で最後だとそこに居た係員に告げられ、控え室につながるドアの把手に手を掛け、回して入る。
 入るな否や、控え室いる全ての人が入ってきたルイとニーナを見る。その中で一人だけ一際殺気を放ってきている、薄い青色の目に髪も色素の薄い青色をしていて、服は黒と白のコントラスト姿の青年が睨み付けるように見ていたが、すぐに視線を戻した。他の人たちも子供かと呟き視線を戻した。
「何か恐いね」

「……」

「どうしたの?」

「ううん、なんでもない」
 ニーナはみんなの視線を感じ小さな声でルイに囁くが、反応がないので心配そうに聞くけど、何でもないと言われこれ以上聞くのをやめる。
 ニーナのそんな態度とは違い、ルイは殺気を放ってきた男に冷や汗を流していた。今までで初めての感覚がルイの体中を駆け巡っていた。

それは……――危険信号――
関わってはいけない…
得体の知れない…
そして危険…

ルイの全身の本能がそう告げている
今の自分じゃ負けることを…

 色々な不安を脳内で考えていると、突然引っ張られる感じがし思考の世界から現実の世界へと引き戻らされた。

「ほら!ルイ、座ろうよ」
 ルイはニーナに引っ張られるかたちで開いている簡易敷きベンチに腰掛ける。
 座るなりニーナに他愛の内話をされるが、浮の空で考え事に耽っているルイ。あの男と戦いながらニーナを守れるかどうか…ましてや今の自分では勝てないであろう人に何とかしてニーナだけを守れないだろうかと。堂堂巡りの考えが脳内を駆け巡り答えが出ない事に苛立ちと、今まで自分が強いと過信していた自分に腹が立つ……