晴れ渡る空に雲が一つもなく、紺碧の青空が穏やかに広がっている。太陽は散々と大地を焦がすようにじりじりと陽光が降り注ぐ。
 それとは対照的にここ闘技場の辺りには露店や大会に出場だろうと思われる人、大会を見にきた観客が蝗の大群のようにいる。
 溢れんばかりに集中している群れのなかでルイ達五人はげっそりしていた。

「あー怠いわ。それに暑いし人多いし…もう、いや……」

 ごったがえしの中、ニーナはうんざりしたように言う。

「おまえら二人は早く闘技場の中へ行け。ちっちゃいから人込みをうまくかわしながらいけるだろ」
 大人三人は人込みに呑み込まれそうになっていた。

「じゃあ、行くね。ルイ行こ」

 ニーナはルイの手を繋ぎ、態勢を低くして、人込みの中を縫うように進んでいく。
 やっとのことで闘技場の中へと着いたルイ達は気恥ずかしそうに繋いでいた手を振りほどき、辺りを見回す。
 闘技場内は外と違い、たくさん人はいないが、それでも人数は多い。それに、見にきた人よりも出場する人ばかりいるように感じる。
 みんなの視線がルイ達に一瞬向いたが、子供に見えるためすぐに自分達の精神を集中するために視線を戻した。
 その視線に気付き子供だと甘く見られたルイはふんと鼻を鳴らしご機嫌斜めになる。
 ニーナは気付かず辺りを見ていて何かを見つけたのか声を上げる。

「ルイ見て!あそこにカウンターがあるわ。そこで聞きましょ」
 二人はカウンターに座っている緑髪の眼鏡を掛けた女性の所に行き話し掛けた。

「あの、すいません。大会のブロックを知りたいのですが?どこに行けば知れますか?」

 ルイが丁寧に尋ねると女性がしげしげとこっちをみてきて、眼鏡をクイっと手であげキリッと言ってくる。

「ブロックですね。大会参加者ですか?お名前は何といいますか?」

「ルイ・ハーティスとニーナ・ハルヒニアです」
 ルイがそう答えるとすこし驚きながらも「そうですか」といい、参加者リストの紙をパラパラパラと凄い速さで捲っていき、突然捲るのを止め、そのページを見て緑髪の女性は予め知っているかのように言う。

「ルイさんとニーナさんは共に同じFブロックです。ちなみに、ルイさんは大会最年少です」

 緑髪の女性は、はっきりといい参加者名簿をしまった。