「師匠どうしたんですか?」
 笑っている師匠に怪訝に思い聞く。

「いやな、お前達二人があまりに息がぴったりでな。それが可笑しくってな」

 笑いが治まった師匠はそう言って二人の顔を見る。そして思い出したようにニーナの顔を見て言う。

「まあ、それはいいとして…ニーナ。ハルヒニアって言ったら火国の王に仕えている上流階級の貴族じゃないか。そのハルヒニア一族のニーナが何でこんな所にいるんだ?」

「ニーナが貴族!?本当なのニーナ?」

 師匠の言ったことにルイは驚き、ニーナに聞くと「そうよ」っていい何事もなかったように言う。
「どうしてそのことを言わなかったんだ?」

 ルイは不機嫌な顔でニーナに言う。

「だって言わくてもわかるじゃない。それにいちいち言う必要もなかったじゃない」

「だから男達に絡まれてたのか…」

 ニーナの悪びれた様子もなく言うのに、ルイは今のでさっきまで事が繋がり、やっとわかったように呟く。

「ルイ、そろそろ夜になるから宿に行くぞ」

 師匠の言葉でルイは、はっとして辺りを見ると、来たときと違い周りには人が疎らになっていて太陽と月のバトンタッチする時刻が近づいていた。星も空がまだ少し明るいがピカピカ自分の存在を知ってほしいかのように輝いている。
 ルイと師匠は町の方へ歩きだそうとすると、ニーナが戸惑いがちに声をかけた。

「あの、待って!」

「ん、なんだ?」

「私まだパパとママに会ってないの。だから…着いていっていい?」

 師匠とルイは立ち止まり、振り返りニーナを見る。
 ニーナは不安そうな表情で師匠に言う。

「そうなのか…じゃあ、一緒に「ニーナ!ニーナぁ!」

 師匠が答えようすると、大きな声が遮った。その声は町の方から聞こえてくるらしく、町から闘技場に来れる道を見てみると、暗くなってきた今でもはっきりわかる赤い髪の男性が走ってくる。