航海生活二週間目を迎えた昼、ルイは氷蛍陣を持ち素振りをしている。 ルイは額にかいた汗を拭い、何度も素振りをする。
師匠は操舵室から出てきて、小型の望遠鏡を持ち、ルイに話し掛けた。
「ルイ、頑張ってるところ悪いが、そろそろ最初の目的地に着くからいつでも出れるようにしておけ」
師匠はそう言うと小型望遠鏡を覗き、最初の目的地である島を見る。
ルイは師匠に言われた後、自分の部屋に戻り、シャワーで汗を流して着替え、降板に戻る。
ルイが戻ると、師匠はまた操舵室に戻っていた。
ルイは床に師匠が置いていった小型望遠鏡を取り、覗き込む。
覗き込んだ先には島があり、町らしきものもあり、でっかいドーム場の建物がデカデカとある。 ルイは師匠以外の人と会ったことがなく、人が大勢いる所は初めてで、わくわくして望遠鏡を覗き込んでいた。
徐々に島に近づいていき、肉眼でも見えるくらいまできたので、小型望遠鏡から目を離して大分近づいた島を見る
やがて島に到着し、船着場にエンペラー号をつけさせ、イカリを下ろした。
師匠は操舵室にから出てきて、エンペラー号から降り、船着場に居た人に話し掛けた。
「すまんが一週間ほどここに停めてもらえないか?」
「ああ、いいぜ。一週間なら、1020ベニーなる。それでいいか?」
不精髭を生やしている茶色い髪をした四十代位の男性が答える。
師匠は「ああ、それで頼む」と言って、背負っていたカバンの中から財布をだし言われた金額を払う。
ルイはそんなやりとりをしている二人に遅れて来た。
不精髭の男性は師匠とルイを見てなるほど、と言って二人に話しかけた。
「あんたたちやっぱり闘技場目当てかい?」
「ああ、そんなとこだ」
不精髭の男性と師匠の会話が何を言っているかわからず師匠に尋ねた。
「闘技場ってなんのことですか?」
「まあ、すぐわかることだ。町に行ってさっさと宿をとるぞ」
師匠は不精髭の男に「じゃあ」と言って町の方へ歩いていく。
ルイは男に頭を少し下げ、師匠の後を追った。


