エビ魔物を倒した師匠は、そのエビ魔物を持ち上げ、海に放り投げた。 師匠は放り投げた後、ルイの方に歩きながらさっきの技名を言う。
「今の技は“瞬神剣”といってな。神のごとき一瞬で無数の切り傷を相手に負わせる剣技だ。ルイ、今のお前なら五式まではできるだろうから大陸に着くまでに教えといてやる」
「本当ですか師匠!?」
師匠の言葉を聞き嬉しそうに聞く。
「ああ、その代わり悪用するなよ」
師匠はルイに答えた後念を押して言う。
ルイはうれしそうに「はい」と言い、師匠の方へ行った。
「まあ、その前に移動術も教えておこう。これも太古の移動術で“無音歩”と言って言葉の通り、音も無く移動する、と言うところだ」
師匠はこっちにきたルイに思い出したように言う。
ルイは師匠の言ったことがわからず、不思議そうに見ていると、師匠が「まあ、見てろ」と言って、音もなくルイの目の前から消えた。
ルイは突然消えた師匠に驚き、目が点になるほどあっけらかんとしてうると、自分の肩がトントンと軽く叩かれたので後ろを振り向くと師匠が笑いながら自分を見ていたのを見て、ルイは更に驚いた。
「師匠いったい…いつからどうやって移動したんですか?」
ルイは未だ笑っている師匠に問い掛ける。
「ルイから見て、消えた瞬間にすでにルイの後ろにいたぞ。これが全ての移動術に繋がる“無音歩というわけだ。音すら聞こえない移動術だからルイに気付かれなかったんだ」
ルイは師匠の言うことを、驚いたように聞いていた。
ルイは自分に無音歩を教えてくれるのか師匠に迫ると、師匠はそんなルイを見て苦笑いしながら「そのつもりだ」と言いルイを落ち着かせた。
ルイは師匠のその言葉を聞き、幼い顔立ちの顔を師匠に尊敬の眼差しを送り、子供のようにというより、まだ子供なんだが、飛び跳ねながら喜んだ。
師匠はそんな様子を困ったような嬉しいような顔で見ていたのだった。


