航海一週間目を迎えた。ルイは構え振りぬきブンっと音が鳴り、真空の刄が海面を裂いていき、見えなくなっていく。
 ルイはそれに満足したのか、フゥと一つ息を吐き、氷蛍陣を鞘へと戻し腰に差す。
 そんな様子を操舵室から出てきた師匠が見ていた。師匠はルイに近付き声を掛ける。

「大分一式“破風”がうまくなったな。じゃあ、次は二式に行くか?」

「本当ですか師匠!?」
 ルイは師匠に言われ嬉しそうに聞き返す。

「ああ。二式はちょっと相手がいないと駄目なんだがな」

 師匠は苦笑いしながらルイに答える。
 そんな師匠の言葉にわけがわからないので不思議そう首を傾けて聞く。
「どうして相手がいないといけないんですか?」
「二式はな、カウンター型なんだよ。相手に攻撃されないと発動できないわけだ。ルイにやらせるわけにはいかないし、いくら技の威力を抑えてもさすがに威力は高いからな危険な…」

 ルイに聞かれ師匠が答えてる最中、突然海からザバッと音がし、降板に下りてきた、魔物らしきようで、エビのような形に両手にグラブを付けて、なぜか両足でたっているエビの魔物。
 師匠は魔物が出てきたので、ルイに説明していたのを途中で止め、「ちょうどいい。ルイ見とけ」と言って出てきた魔物に向き合う。
 エビ魔物に師匠は歩いて近づくと、一定の間合いまで来ると構えて、氣を高め、エビ魔物に向けてフッと鼻で笑い挑発する。
 エビ魔物は師匠の挑発にフゴフゴと怒ったような声をだし師匠に向かって走ってきてパンチを繰り出してきた。
 師匠はエビパンチを剣で受けとめた瞬間、師匠はいつのまにかエビの後ろに居ていた。そして師匠が真っ赤な刄を鞘に戻すと、エビの魔物があちこち剣で体を切り傷が無数に刻まれていて、倒れた。
 ルイは師匠がいつのまにかエビの背後に居たのをみて、目を見開いた。 ルイはまったく師匠の動きが見えなかったのだ。