ルイと師匠は洞窟内を歩いている。洞窟内は相変わらず薄暗く、奥に行くにつれてさらに暗くなっていく。
 洞窟内の壁は湿っていて、天井からは水滴がポツポツと地面に落ち、その音が洞窟内に反響している。

「師匠暗くなってきましたね」

 ルイは自分の前を歩く師匠に言う。

「確かに暗くなってきたな」

 師匠は背負っていたカバンから松明をだし、魔力を送ると、ボワッと火が点き辺りを松明に灯った火が照らす。
 ルイは松明に火が灯ったのを確認して、師匠の隣に並んで歩く。

「師匠、まだ着かないのですか?」

 ルイは並んで歩いてる松明に照らされた師匠の顔を見て言う。

「まあ、待て。ルイあと少しだ」

 そう言って二人は黙々歩き、少ししたら、サラサラと水の流れている音が聞こえてくる。
 その音がはっきり聞こえてくるにつれて、奥に光が差してきている。

「…師匠これですか?」
 ルイは息を呑み、洞窟内から大きく開けたドーム上にある空洞を見て師匠に言う。

「ああ、ここだ。それより早く乗るぞ」

 師匠はルイに行った後、大きくもなく小さくもないぐらいの船が波打ち際にポツンと置いてある。
 ルイは視線を上に向けていたのを正面に戻し、初めて波打ち際に船があるのに気付いた。
 ルイは師匠が船からたれている紐の縄をのぼっているを見て、慌てて師匠のもとに向かう。

「師匠!こんな船前からここにあったんですか!?」

 ルイは上り終え降板に立っている師匠に驚いて言う。
 師匠はそんなことお構いなしにルイに「早く上ってこい」と言って、マストに更に上がり帆を張る。
 ルイは紐の縄をつたって上がり、張り終え降板に居る師匠に駆け寄った。
「師匠、いったいこの船は?」

「この船は“エンペラー号”と言ってな、とある友人に無理を言って作らせたものだ。そんじょそこらの船とは違う。まあ、航海してるうちにわかるだろ」

 師匠は友人を懐かしむように言う。

「はぁ、そうなんですか…」

 ルイは師匠のそんな姿を見て溜め息を吐き呆れて言う。

「じゃあ、行くか」

 師匠はそう言って操舵室の舵を取りに行った。 ルイは師匠が行ったのを見、これから起こるだろう事を胸に思いを秘めた。