小屋から出て三十分も森の中をルイと師匠が歩いている。
 ルイは師匠の後をただ付いていくだけで、どこに向かっているのかわからない。辺りは相変わらず木々が所狭しと茂っていて、高さはそれぞれ高かったり低かったりだ。 こんな状況にルイはうんざりしていた。

「師匠。いったいどこに向かっているんですか?さっきからずっと森のなか歩いていて、海に行かないのですか?」

 ルイは代わり映えのない景色が面白くないし、どこに向かっているかわからないので、師匠に聞いた。

「ああ、そういえば言ってなかったな。まあ、あと少しで着くから後でのお楽しみだ」

 師匠はルイに聞かれて初めて思い出したように言う。
 そして、師匠はニヤッと笑いルイに言った。

「師匠なんですかその笑い、気持ち悪いですよ」
 ルイは師匠が笑いかけてきたので気持ち悪そうに言う。

「師匠に向かって気持ち悪いとはなんだ。ルイをこんなふうに育ててたなんて思わなかったぞ」

 師匠はルイに言われたことにちょっとショック受けて、ルイの顔を見ながら、どこからかハンカチを持っていて目頭を押さえて泣き真似をしてルイに言う。

「師匠、もういいですよそんなふうに返さなくても」

 ルイはそんな師匠の姿を見て、うんざりしたように言う。

「ん、そうか。まあ、あとちょっとだから我慢しろ」

 師匠は宥めるようにルイに言う。


 それから三十分ぐらい歩いていると、洞窟らしきものの姿が見えてくる。

「ルイ、ここだ」

 師匠の言葉を無視して、ルイは洞窟が見えたので、急いでそこに向かっていく。
 ルイは洞窟の前まで着くと、その洞窟を見てみる。
 その洞窟は土で固められていて、大分前からある趣がある。洞窟のなかは薄暗く、洞窟の周りには木々があるためか、太陽の光が洞窟内まで照らされていない。

「師匠、ここですか?」
 ルイは洞窟の方を指差し、師匠に尋ねた。

「ああ、そうだ」

「ここに何があるんですか?」

 さっき無視されてむくれている師匠はルイに答えた。
 ルイは更に師匠に尋ねる。

「後でわかるからさっさと洞窟に入るぞ」

 師匠はそういい洞窟内に向けて歩きだす。
 ルイも師匠の後を追うように歩きだした。