シュッ、シュッ

シュッ、シュッ


 いつものように木の剣の素振りで風のきる音が一定のリズムで聞こえてくる。
 今はまだ辺り一帯に木々があるが、木漏れ日がかすかに照らされているため朝だとわかる。それに、小鳥達の囀りが歌のように聞こえてくる。


「ふぅー、疲れた。180キロはきついな」


 幼いが端正な顔立ちをしているルイは、白銀の汗でべたついた髪を掻き上げながら言う。
 それにしてもあの時の師匠は大人気なかったなあ、と心の中で思いながら木の剣を地面に突き刺した。


「うーん、どうしてここには魔物とかがいないんだろ…」


 ルイは普段から魔物が出ないことを疑問に思っているので誰に言うでもなく呟く。


「ああそれのことか。ただ単にこの島にいる魔物を根絶やしにしただけだ」


 ルイの背中から突然声が掛かりびっくりして後ろを振り返ると、恐ろしい内容をサラっといってしまう師匠がルイを見ていた。


「し、師匠!?いったいいつから後ろに居たんですか?それに恐ろしい内容を普通に言わないでくださいよ」


「別にどんな内容だろうが普通に言うだろ。それに、快適に暮らすには魔物が邪魔だからな。根絶やしにするしかないだろ」


 ルイは突然現われた師匠が恐ろしい内容を、当然のように言うので、師匠に冷静におかしい部分を指摘した。
 師匠はルイの指摘にさも当たり前のように言う。

「はぁ、もういいです。とにかく師匠はこの孤島にいる魔物を根絶やしにしたんですね」

 ルイは師匠の顔を見ながらため息を吐き、呆れて言う。

「師匠の顔を見ながら溜め息するなんて感心しないぞ、ルイ。…それよりルイ、そろそろ旅にでるか」

 師匠はルイに溜め息を吐かれたので渋い表情で言う。
 師匠はふと思案し、付け加えてルイの顔をみて言った。