「なあ、ルイ。お前はその年で自分の魔法を把握し、魔法を違う形に変化して使うっていう発想は、なかなか出来るもんじゃない。お前は魔法に関しては天才だ。だから、魔法は後からでも修業したってお前ならすぐにうまくなって、俺をいつか越えるだろう。だけどな、それ以前に精神的にも肉体的にも向上しなければいけない。小さいうちからちゃんとやっていったら、お前はもっと強くなる。そういえば、木の剣の重量は今どのくらいだ?」

 師匠はルイにゆっくり聞かせるように言った。 師匠はふと気になったことを思い出しルイに聞いた。

「えっと…150キロ位です」

 ルイは師匠に聞かれたことに何キロか思い出そうとして、少し考えた後答える。

「まだ150キロだろ?それじゃ駄目だ。300まではちゃんと修業しろ」

 師匠はそう言い、魔力を広範囲に送る。
 そうすると、今まで地面が割れていたところが徐々に塞がっていく。塞がり終えた後、師匠は十メートルの高さから飛び降りた。

「ルイその岩なんとかしておけ」

 そう言って小屋の方へ戻って行った。
 ルイはこの十メートルの高さの岩を見てため息を吐いた。
 また同じように氷のブロックを作り降りていく。降り終えた後、十メートルもある岩を再度見上げる。

「それにしても高いなあ。こういう使い方もあるんだ」

 へえーと声を上げ、右手を岩にあて魔力を練り上げる。

「ゼロフリーズ」

 そう言葉を紡ぐと、十メートルもある岩が、下から徐々に凍っていき、全て凍るのを確認してルイはさらに言葉を紡ぐ。

「クラッシュ」

 凍っている岩がビキビキと音をたて皹がはいり、最後にピキッと大きな亀裂が刻まれ、音をたて、凍っている岩が粉々に崩れていく。

 それを見届け、戻ろうとしたら眩しい光が空から射してきた。太陽が天辺近くまで昇っているのに気付き、初めて今がもう昼ぐらいだとわかる。 そしてルイは白銀の髪を太陽の光によって、輝いているサラサラな髪を揺らしながら小屋がある方に戻っていく。

 それを小屋の方で一部始終見ていた師匠は、驚愕してルイのことを見ていた。
「驚いたな…まさか追加魔法まで使えるとは…」

 師匠の呟きはわずかに震えている。ルイが戻ってくるので急いで、昼飯の用意をしに行ったのだった。