――――国境近く―――

 何もないところから急にまばゆいぐらいの光が辺り一帯に放たれた。
 納まると、そこから幼い赤ん坊が宙に現れた。 赤ん坊はゆっくりと雪が散りばめられた地面に降りてくる。


「オギャー!オギャー!」


 赤ん坊は溢れんばかりの泣き声を上げ、両親と離れた悲しみに本能で感じている。
 赤ん坊は徐々に感情が高まると周りに仄かに風や雪が、その感情に呼応するかのように激しさを増していく。




 そのようすを遠くから見ていた青年らしき人物がいた。


「なんだあれは?赤ん坊まで現れたけど近くに親は居ないしどうしようか?」


 青年はゆっくりとした足取りで、赤ん坊の近くまで行こうとしたが、赤ん坊を取り巻く、雪や風が荒々しく赤ん坊を守るかのように吹き続けるため、近づくことができなかった。


「ん、仕方ないな」


 青年はゆっくりと赤ん坊を守る雪や風に近づいていく。


「メタルフレイル」


 もうすぐで当たるというところで、青年は呪文を唱え、赤ん坊の荒々しく周りにあった、雪や風が一瞬でなくなった。  それにより、今まで見えなかった赤ん坊が見えるようになった。


「なんてこった…まさか俺以外にもいるなんて…」


 青年は赤ん坊を見てありえないもの見るような目付きで見つめたあと、赤ん坊を抱き上げる。


「お前の名前は何ていうんだ?」

 抱いている赤ん坊に問い掛ける。

「オギャーオギャ!」
 元気な声で言うが赤ん坊の言葉なので、何を言っているかわからないので困っていたら、青年の足元で音がした。
 青年は足元を見ると、雪が文字の形になっていて、名前が書いてあった。ルイと…
「ルイか…お前すごいな…その年で能力使えるのか…」
 赤ん坊をみて感嘆の声を上げる。
「俺と一緒に行くか?」
「オギャー!」
 青年の問い掛けに元気よく声を上げる。
「よし!じゃあ、行くか」 青年は赤ん坊を抱いて歩き始めた。