オレは兄貴を無視することにした。
兄貴を振り払うと、ソファーに腰をかけ、テレビをつけ‥‥‥ようとした。

なんでつけなかった?
それはな、兄貴に腕を引っ張られたと思えば、オレの上に兄貴が跨がる状態に押し倒されたからだ。

「なっにやってんだよ!下りろ変態!」

「いやっだー★」

兄貴は下りるそぶりも見せずに、ニヤリと笑みを浮かべると、オレの耳に顔を近づけ···

――ペロッ

舐めた。

「っ‥‥やぁ。やめ‥‥」

「あり?まだ耳ダメなの?」

絶対わかってたな。
意地悪っぽい顔でニヤリと微笑むと、オレを担ぎ上げ階段を駆け上がりはじめた。

ジタバタと、もがくオレをしっかり持ち上げていたと思えば、ドサッっとベットに投げ捨てまたもやオレの上に跨がった。

「いゃまじでやめろょ?」
「大丈夫。大丈夫。やめろなんて言わせないくらい手加減しないから★」

ぐっと力を込めて兄貴の胸を押しやろうとするがさすがに、成人を終えた大人との握力は比べものにはならなかった。

逆に‥‥

「抵抗とかしてるのかわい~♪」

楽しんでやがる‥‥。
もーダメだ。

「まじ無理!やめろ変態!」

――かぷっ

「ひゃぁっ!!」

耳噛みやがった。
力が抜けてしまった腕を上げて精一杯力を出して退けようとするが、努力も虚しく遮られてしまう。