「あんたいつも放課後図書室かどっかに残ってるでしょ?昨日誰が残ってたとか知らないの?」



その質問に滝川くんが美奈の方をパッと向く。



「……たしかに残ってるけど俺、大体図書室にいるから誰が残ってるかなんていちいち知らない」



滝川くんが答えると、「なぁんだー」と美奈はがっくりとうな垂れた。


そしてあたしの方をちらりと見る滝川くん。



「どうしたの?」


「…いや、なんでもない」



そう言うと滝川くんはフイッと顔を逸らして。



「…俺が残ってたのはたしかだけど」




誰にも聞こえないような声で小さく呟いた。