その声に顔を上げれば、目の前にはガサガサとカバンの中を漁りだす先輩。
相変わらず何も入っていなさそうなぺちゃんこなカバンだなぁ…と思いながらその光景を見ていると、お目当てのものが見つかったのか先輩の表情がパッと明るくなる。
そしてちょうど先輩の手のひらくらいの何かを取り出した。
「あったあった。はい、これ」
先輩から差し出されたもの。
それは
「スノー、ドーム…?」
私の手のひらに乗せられた透明な球体を揺らせば、中でふわふわと雪が舞い落ちるスノードーム。
そこに広がる銀世界は絵本の挿し絵のような風景で。


