そんな可愛い顔されたら何も言えなくなるじゃないですか。
ただでさえ顔が近くてどうにかなりそうのに。
本当、無自覚って罪だと思う。
恥ずかしさから言葉が紡げず俯いてフルフルと首を横に振れば、先輩は"よかった"と口元を緩ませふわりと笑った。
あぁ、もう。
絶対今顔赤くなってる。
それに嫌なわけないんだ、先輩がここに来てくれたこと。
むしろその逆だよ。
嬉しくて仕方ない。
少しでも一緒にいられる時間が、私には大切なんだから。
大好きな図書室で大好きな人と二人きり。
まるで漫画みたいな瞬間。
「実はさ、綾人に渡したいものあって来たんだ」
赤い顔を隠すよう俯いたままの私の耳に聞こえた先輩のそんな言葉。


