知りませんよそんなの。
だってあの時二階には誰か居たかもしれないし、隣のクラスに向けてるかもとか彼女がいたのかも、とか。
可能性はいくらでもあったじゃないですか。
というかほぼどっかに彼女が居たんだと思ってたし。
なんて、そんなこと口が裂けても言わないけど。虚しくなるから。
でも、あれが私に対してだったのだと思えば思わずにやける口元。
(ちょっと、優越感)
だってまだ先輩の視界に私は入ってるってことでしょう?
マフラーに顔を埋めててよかった。
こんな緩んだ顔先輩には見せられない。
そんなことを思いながら一人幸せを噛み締めていた私。
しかし、それを打ち壊すように黒い影が私の方へ伸びてきた。


