ふっと聞こえた笑い声に顔を上げれば困ったように恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑う先輩の姿。 そして、先輩の手が私の手のひらに触れた。 「…綾人、手冷たい」 「…冷え性なんですよ」 冷えきった私の手に湯たんぽのように暖かい先輩の手が触れて。 一瞬ピリッと痛んだ指先。 けれど、そんな痛みを吹き飛ばすくらい心臓はバクバクと音を立てている。 向き合って、絡み合う視線。 「俺がこうやって手を繋ぎたいのは、綾人だけだから」 吐く息が白くなるほど寒い雪景色の中、先輩の笑顔が暖かく私を包んだ。