すっと、先輩との距離が一歩縮まる。
「羨ましかったんだ」
呼吸が止まってしまいそうな距離。
「綾人のこと、呼び捨てにしたり。家に遊びに行ったりできるあいつが羨ましかった」
そう言った先輩の瞳は辛そうに細められて。
泣いてしまいそうな瞳に胸が苦しくなる。
まさか先輩がそんなふうに思っていたなんて知らなかった。
私のことをそんな対象で見てくれているとは思わなかったし。
ましてやヨシくんに嫉妬するなんて想像も出来ない。
でも今私を見つめる先輩の瞳は本気の色をしていて。
(嬉しい、とか)
そんなことを思ってしまう私は不謹慎なんだろうか。


