私が泣いたあの日もお鍋の日も、ヨシくんはちゃんと家に帰っている(徒歩数秒だけど。お風呂は入っていったけど)。
「でも、ケータイ忘れたって…」
「ヨシくん一日くらい無くても気付かないですから」
「ケーキ屋デートは…?」
「ケーキ?…あぁ!お兄ちゃんの彼女が来るから買いに行ったやつですか?」
俯いたままの先輩から飛んでくる質問に答えていく私。
私が答えるたびに少しずつ上がっていく先輩の顔。
そして
「じゃあ、俺の勘違い…?」
やっと見えた先輩は困ったように眉を下げて笑っていた。
私はその言葉にコクリと頷く。
どうやら先輩は本気で私とヨシくんが付き合ってると思っていたらしい。


