「でも、学年も違うし委員会も終わっちゃって…なかなかタイミングとか、どうしたらいいかわかんなくて」
そう言って先輩は恥ずかしそうに笑いながら頬を掻く。
「それで…情けないんだけど、別に本読むわけじゃないのに図書室行ったり、恭介先輩とかに頼んで綾人の好きなもの聞いたりとかしてた」
カッコ悪いよなーと眉をハの字にして笑う先輩にきゅんと胸が痛む。
(うそ。うそだよ、そんなの)
そんなの知らない。
お兄ちゃんだってヨシくんたって何も言ってなかったもん。
込み上げてくる涙を止める術はもうない。
それを見られたくなくて俯けば、ふわりと頭に感じた暖かな重み。
私の、大好きなぬくもり。


