「そうそう、だからがんばりなさい。史穂ちゃんも応援してくれるわよね?」

「え? あ、はい。」

舞台のミズキ君のことはよくわからないけれど、今のお茶の間の人気者であるミズキ君は事務所に作り出された【ミズキ】っていうキャラクターなんだってことは理解できた。

「みんなミズキ君のこと応援してますよ。私の親友なんか、ミズキ君の載っている雑誌全部買ってるくらい好きなんです。」

「こないだの初回限定版の子?」

全て櫻井さんに筒抜けらしい。

「はい。すっごく喜んでした」

「それは良かった。ファンは大事にしないとねミズキ?」

「わかってる」

ミズキ君は窓の外を眺めたまま、ポツリとそう言った。