ミズキ君、大好きなんだろうなこれ。
おいしいっていうのがわかるいい顔してるもん。
「満足したか、ミズキ?」

食べ終わって少しすると、マスターがお冷やを交換してくれた。

「うん。やっぱりマスターのボロネーゼが一番だよ、うまかっただろ、史穂?」

「はい。とっても」

「それは良かった。これからもご贔屓にしてくれるとうれしいな」

食器を下げて、奥のキッチンへ戻っていく。


「マスター、ちょっと上の部屋史穂に見せてもいい?」

「いいぞー、でも戸は開けとけよ」

「戸?なんで?」

「史穂ちゃん、ミズキになんかされたら大声上げるんだよ。助けに行くから」

「はあ!? マスター何いってんの!?」

「親心ってやつだよ。高校生の男女二人っきりにするのはアレかなあと思って。じゃあ、史穂ちゃんゆっくり遊んでって。飲み物途中で届けるのはから」