あのノートにかかれていた言葉さえ、本当かどうか霞んできた。
もしかしたら誰かがいたずらで書いたのかも。
そんなふうに思える。
だって、
今まで岸谷くんが自分の事を好きだなんて思えるような行動や動作、見たこと無い。
目が合ったことさえ、数えるほどしかないのだ。
「…あーあ。」
ほとんど人がいない廊下をやる気ゼロで灯は歩く。
万が一、その時自分の事が好きだったとしても、あんな可愛い子が上目使いで誘ってくれたらイチコロだろう。
自分が男なら多分ほいほいついて行ってしまう。
岸谷くんも男だ。
今ごろゴキブリホイホイ並に官能的で魅力的な彼女に心までひっかかっていたっておかしくない。
「…私もあの谷間が欲しい。」
自分の服の隙間を覗きながら灯はため息をついた。


