岸谷くんのノート








困った事が起こった。






灯が怖がらずに岸谷くんに勉強を教えて貰っているのを見て、徐々に二人から三人、四人と人数が増えていき、数学の後に軽く勉強会みたいな状況が生まれてしまっていた。


「ここが…こう。」


「へーっ!」


しかも意外と教えるのが上手い。


そして、



「岸谷くーん、ここはぁ?」



何故か集まってくる面子が7·3の割合で女子の方が多かった。









「なんでだろう…って、そりゃぁ岸谷くんがちょっと格好いいからじゃない?」


「え!」


志織がポッキーを頬張りながらもぐもぐ答えた。


「元からこっそり人気あったのよ。でも喋らないし睨むし不機嫌だし、今まで怖くて喋れなかったんじゃないの?」


全然喋らない時と無愛想ながらも親切に勉強を教えてくれる時のギャップがまた拍車をかけたらしい。



「…。」


「…なに。それであんたがなんか困ることでもあるの?」


不思議そうに訪ねてくる志織に灯は腕組みをしながら固まってしまった。