前川さんと並列して歩く
学校の校門を通り過ぎて駅に向かう
前川さんも電車通学だということがわかった
「そういえば前川さんて下の名前なんていうの?」
「林檎っていうの」
「りんご…?」
「うん、林檎。変な名前でしょ」
「え、そうか?うまそうな名前だけど」
「…」
前川さんが黙り込む
あれ、いけないこと言ったかな
「俺、伊織ってゆうの」
「いおり?」
「そ。女みたいな名前だろ?」
「いおりくん」
「ん?」
名前を呼ばれた
前川さんを見ると前川さんは俺を見上げて微笑んだ
「素敵な名前…」
その顔はすごい綺麗だった
さっきピアノを弾いてたときみたいな優しい顔
本当、百面相みたいに表情を次々と変える前川さん
俺を少しずつ大胆に引きずり込む前川さん
駅に着く前に小さいお菓子屋さんにはいった
そこで前川さんはクッキーを買った
それを俺に手渡した
俺は断ることもせずありがたくもらった
そして俺は前川さんを家まで送りこの嵐のような出会いの1日は終わったのだ
