ガラッとドアを開けると、俺は中に入った。

バタバタと自分の席へ戻る生徒。

慌てて前の時間の授業を片づける生徒。

んなことやってるくらいなら、さっさとやれっつんだよ。

だから帰りのホームルームが長くなるんだろ。

心の中で毒づきながら、俺は教卓に立った。

そのとたん、俺と穂波の目があった。

俺と視線がぶつかったことに、穂波は楽しそうに微笑んだ。

そして、右目で俺に向かってウインクをしてきた。

あ・い・し・て・る……と。

もちろん、俺は左手で自分の首に触れて返事を返す。

愛してる、と。

俺と穂波の2人だけの、愛のサイン。

知っているのは、もちろん俺と穂波だけである。